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このほんについて

佐々木美香のこの本は、ずっと前にできていた。少しだけ直すつもりで随分長いこと放っておかれたけれど、結局、何も直さず発表された。これは「愛」についての本だ。

僕らの「愛」はお互いの立場に高低がある場合にだけ成り立つ。年齢の差、経験の差、地位の差、性別の差、知っていることと知らないことの差、そして「わたし」と「ハリネズミ」という差。

「私」は全くそんなことに気づかないけど、はりねずみに自分勝手な「愛」を押し付けている。はりねずみは、愛を押し付けられても決してグレない。さんざん、振り回されても、君はどんなにオシャレするよりも、そのままが一番いいね、という振り出しに戻った結論になっても、彼は全部をゆるしてニコニコしている。実は、はりねずみは、「私」を喜ばせられないことに、ずっと申し訳なさを感じていたのかもしれない。彼はきっと辛かったのだ。そして、最後に、彼は心からほっとしたのだ。

今度はきっと、はりねずみのほうが、いつも変わらない自分自身に嫌気がしてきて、似合わないファッションを纏い変質していくのかもしれない。そしたら、「私」は慌てふためくに違いない。はりねずみは、そのとき、君はそのままが一番だよ、という声に耳を傾けるだろうか?「花」をさしてあげるのは、もう「私」の役目ではないのかもしれない。そんなことになったら、物語は2人の登場人物だけでは解決しっこない。

その時はあなたや僕が、はりねずみと「私」に、花をさしにいくのかな。

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